救急医療のポイント

昨今の地域医療構想により在宅医療や地域包括ケアシステムが掲げる医療・介護・生活支援の一体化の重要性が高まってきている中で、救急診療は現代に欠かせない医療分野であると言えます。
近年見られる人口高齢化の急速な進行は社会環境を益々多様化して国民の救急医療に対する関心と要望はこれまで以上の高まりをみせており、いまや救急医療は国民の日常生活のなかで欠くことのできない存在になっており
救急車の利用も年々増加傾向なんです。
救急医療を受けずに済むためには、一般的な生活習慣病の発症予防を徹底して健康を支えて守っていくための社会環境を整備することが大切であり、特に栄養・食生活、身体活動・運動、休養、飲酒、喫煙及び歯・口腔の健康を増進することが望まれますね。

本邦では昭和52年頃からは機能別に救急医療機関を初期、第二次、第三次の三種類に分類し、救急医療を体系化した制度が運営されてきたんです。

(1)初期救急医療体制とは、主に地域の急病対策として、地域住民の身近なところで夜間においても気軽に受診することができる医療機関で、市町村が設置する休日夜間急患センターと地区医師会が実施する在宅当番医制から構成されています。主に入院を要しない患者を対象とするのが原則です。

(2)二次救急医療体制とは、内科系・外科系の疾患について入院を要する患者を対象としており、総合病院や救急病院、共同利用型病院(主に医師会運営病院)で病院群輪番制を基本としていました。

(3)三次救急医療体制とは、生命に危険のある重症患者の医療を行うものであり、救命救急センターや大学の救急部で構成されておりました。

これらの基本分類が今日の機能別骨格である初期、二次、三次救急医療体制の始まりなんです。 将来的には多様化する社会環境や疾病構造の変化にも適切に対応しつつ、救急患者を各地域で診療完結できる新たな救急医療体制の構築が目指されますね。

地域における救急医療は居住住民にとってかけがえのない必要不可欠な資産とも言え、救急診療がなければ平和的な暮らしが成り立たないということを一人ひとりが認識しておく必要があります。

【引用】

1)中橋毅:地域医療が抱える問題. 日本老年医学会雑誌54 巻:491-498,2017.

2)河野元嗣, 佐藤哲哉:当院初期研修医を通じてみるProfessionalismと救急医療.日本腹部救急医学会雑誌32巻:907-912,2012.

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