ヘルスケアブック

監修薬剤師
星野知秀
HPC みどり薬局
薬剤師
星野知秀

家族の喫煙に不安な方へ

喫煙契機

30-50歳代の女性で特に家族や知人の健康が気になる方は多くいらっしゃいますね。日々のストレス等が原因でニコチンによって喫煙に対する依存性がもたらされるのみならず、「タバコを吸う」という習慣に対する依存性も喫煙によってもたらされます。

疫学背景

禁煙2017 年の本邦の国民健康・栄養調査1では成人喫煙率は 18%であり経年的に減少し、喫煙者の中でタバコをやめたいと思う者の割合は29%でした。あるアンケート調査では禁煙治療を始めたきっかけは医師から禁煙を勧められたが約5割で、家族や身近な人に禁煙を勧められたが約3割でした。

(禁煙支援)
喫煙者に対しては、禁煙すれば生命予後延長を効率的に期待できるという禁煙支援をすべきです。同時に受動喫煙をゼロにする対策が重要で、たった一人の禁煙がその家族や同僚・友人、その他多くの方々への受動喫煙による健康障害をなくすことが出来ます。

(病院の観点から)
一般外来における禁煙指導の場面において、禁煙の動機づけを優先的に行う必要があり、その道筋では医師のみならず看護師や薬剤師、臨床心理士など多職種との連携も重要です。

(禁煙補助治療薬)
2006 年に本邦で禁煙治療に対する医療皆国民健康保険が適用されて以降、2008年5月より内服禁煙補助薬であるバレニクリン(varenicline,チャンピックスⓇ)が市場導入されました。バレニクリンはニコチンを含まない経口補助薬であり、バレニクリンによる12週間の禁煙成功率は約7割と比較的高値です。他に本邦で承認されているのはニコチン代替療法で、皮膚や口腔粘膜の接触面からニコチンを徐々に体内に吸収させることでニコチンの離脱症状を軽減し禁煙を補助する治療です。

また近年では医療機関へ通院することなくスマートフォンやパソコンタブレットなどのオンライン上で医師の診察(自由診療)を実際に受けて、自宅に届いた禁煙治療薬で禁煙達成を目指すプログラムが普及開始され、従来の禁煙外来とは異なり通院や待ち時間の手間を省いた効果的なオンライン服薬治療として注目されています。

(ストレス緩和に有効とされるサプリメント
サプリメントを含む食品類の中にはストレス解消に効果的な成分として知られているものがあります。例えば、ビタミンCは抗ストレスホルモンの合成に必要不可欠であると言われています。GABA(Gamma-Amino Butyric Acidの略)は脳に存在する抑制系の神経伝達物質で、ストレスを和らげる効果があります。

 

【引用】
1) 厚生労働省:平成 29 年国民健康・栄養調査結果の概要 . https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000351576.pdf

(参照2018-10-07).

2) 石井正和, 大西司, 下手葉月, ほか:保険薬局薬剤師の禁煙支援業務に関する調査研究:患者の視点から. 禁煙会誌 2017; 12: 12-20.

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